コーポレートガバナンス
第2章 全社的内部統制の仕組み
第1項 業務執行の基本原則
当社は、本投資法人の保護および業務の適切な運営を目的として、金融商品取引法に基づいて当社が行う金融商品取引業の内容および方法に関する基本的な項目(業務の基本方針および業務運営の原則に関する事項、資産運用の基本方針に関する事項、運用する資産の種類、運用権限の委託に関する事項、当社の財務の健全性に関する事項等)を「業務方法書」に定めています。
当社が業として行う金融商品取引行為の種類は、金融商品取引法第28条第4項に定める投資運用業です。また、当社の行う投資運用業の種別は、金融商品取引法第2条第8号第12号イに掲げる契約に係る同号に掲げる行為(業として投信法第223条の3第1項に規定する特定投資運用行為を行うことを含みます。)です。
当社は、投資運用業の運営にあたっては、その本旨に則り、本投資法人の規約、本投資法人との間で締結している資産運用委託契約の定めるところに従い、顧客である本投資法人のために、忠実に且つ善良な管理者としての注意義務をもってこれを遂行します。また、当社は、顧客である本投資法人の保護及び当社の業務の適正性をはかるため、金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律その他関係法令に定めるところに従い、これらを遵守してその業務を遂行します。
当社は、経営の効率化と財務体質の健全化を図るとともに、自己資本を充実し、経営基盤の長期安定化を確保します。
当社が投資運用業を行うに当たっては、本投資法人の資産の着実な成長と安定した運用収益の確保を目指して運用を行います。なお、当社が投資運用業を行うにあたっては、過度に投機的な取引を避けるとともに、投資対象となる資産市場の短期的な急騰又は急落を引き起こす要因とならないよう留意します。
当社は、金融商品取引契約の締結にあたっては、法令に基づき、顧客の本人確認を適切に実施します。また、当社は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に基づき、疑わしい取引に該当すると判断される事案に遭遇した場合は、的確かつ適切にその該当・非該当を判断し、速やかに当局に対して届け出を行います。
当社は、遵守すべき法令又は諸規則に反する行為その他の金融商品事故等が発生又は発覚した場合、迅速に内部管理部門、取締役会等への報告及び所轄官庁への届け出を行うと共に、適切に事故の調査及び原因の解明を実施します。
第2項 経営体制
当社の業務運営の組織体制を次の図の通り定め、その職務・業務分掌や構成・定足要件・決議要件・決議事項等を、「取締役会規則」「業務分掌規程」「投資委員会規程」「コンプライアンス委員会規程」にそれぞれ定めています。
業務運営組織図
各委員会の構成、審議事項、権限等の概略は、次の通りです。
投資委員会
投資委員会は、委員長である代表取締役、取締役(投資運用部、資産管理部、財務企画部、経営管理部又は経理部を管掌する取締役に限り、代表取締役を除く。)、投資運用部長、資産管理部長、財務企画部長、経営管理部長、経理部長、外部委員(イオングループと利害関係のない不動産鑑定士)により構成され、コンプライアンス・オフィサーが必ず陪席します。
投資委員会は、本投資法人の運用資産の取得及び売却等に関する案件の選定及び条件の決定、本投資法人の運用資産に係る賃貸借契約、プロパティマネジメント契約、大規模修繕に係る請負契約等の契約締結の決定、本投資法人の資金調達に関する事項等を審議します。
投資委員会の決議は対象となる議案について議決権を有する委員の過半数が出席し(但し、委員長及び外部委員の出席は必須です。)、出席した委員の過半数の賛成により決定されます(但し、外部委員の賛成が必要です。外部委員は、単独で議案を否決できる権限を有します。)。なお、決議の内容が利害関係者取引(但し、軽微な取引を除きます。)の場合、出席した委員の3分の2以上の賛成により決定されます。対象となる議案について特別の利害関係を有する委員は、決議に加わることができません。
コンプライアンス・オフィサーは、投資委員会の審議経過にコンプライアンス上の問題があると判断した場合、審議の中断を命じることができます。
コンプライアンス委員会
コンプライアンス委員会は、委員長であるコンプライアンス・オフィサー、代表取締役、取締役(投資運用部、資産管理部、財務企画部、経営管理部又は経理部を管掌する取締役に限り、代表取締役を除く。)コンプライアンス部長、外部委員(イオングループと利害関係のない弁護士)により構成されます。
コンプライアンス委員会は、投資委員会決議事項(利害関係者取引(軽微な取引を除きます。)に該当する場合及びコンプライアンス・オフィサーが必要と判断した場合に限ります。)についてのコンプライアンス上の問題の有無、コンプライアンス上不適切な行為及び不適切であるとの疑義がある行為に対する改善措置、その他コンプライアンス・オフィサーがコンプライアンス上問題があると判断した事項についてのコンプライアンス上の問題の有無に関する事項等を審議します。
コンプライアンス委員会の決議は、対象となる議案について議決権を有する委員の過半数が出席し(但し、委員長及び外部委員の出席は必須です。)、出席した委員の過半数の賛成により決定されます(但し、委員長及び外部委員の賛成が必要です。委員長及び外部委員は、それぞれ単独で議案を否決できる権限を有します。)。なお、決議の内容が利害関係者取引(但し、軽微な取引を除きます。)の場合、出席した委員の3分の2以上の賛成により決定されます。対象となる議案について特別の利害関係を有する委員は、決議に加わることができません。
第3項 コンプライアンス態勢
当社は、当社の企業倫理としてのコンプライアンスに関する基本方針と役職員の行動指針としての遵守基準を定めることにより、業務運営に際して、あらゆる法令等を厳格に遵守し、誠実かつ公正な企業活動を遂行するとともに、自己規律に基づく経営の健全性を確保することを目的として、「コンプライアンス規程」その他の社内規則を定めています。
当社の法令等遵守部門は、コンプライアンス・オフィサー及びコンプライアンス部とし、営業担当部門から独立した態勢を維持します。
コンプライアンス・オフィサー及びコンプライアンス部は、法令等の解釈に関して社内各部門に対し助言・指導を行い、法令等遵守に係る事項についての一元管理を行います。
コンプライアンス部は、コンプライアンスを実現するための具体的な実施計画である「コンプライアンス・プログラム」を事業年度毎に策定し、当該プログラムに基づいて、全役職員に対し、コンプライアンスに関する教育・研修を定期的に実施します。
第4項 内部者取引の未然防止態勢
当社は、内部者取引の未然防止等を図るため、役職員等(当社の役員および従業員その他当社の業務に従事するすべての者をいいます。以下同じです。)がその業務に関して取得した未公表の法人関係情報の管理および役職員等の服務等について必要な基本的事項を定め、当社の適正な業務運営に資することを目的として、「内部者取引管理規程」を定めています。
なお、当社は、投資運用業の遂行にあたり、法人関係情報を利用した株式等の売買等その他法人関係情報に基づく行為は行いません(但し、金融商品取引法第166条第6項又は同法第167条第5項各号に該当する場合は除きます。)。
第5項 危機管理
当社は、「リスク管理規程」その他の社内規則により、大規模自然災害等発生時における危機管理態勢の整備と業務継続計画・業務継続管理への対応を目的として、緊急対策本部の設置基準、緊急時の役割・人員態勢、社外連絡先・緊急連絡網、安否確認手段、業務影響度分析に基づく重要業務の特定と復旧手順、情報開示、訓練計画の策定と実行、左記に係るPDCAの手続、等を定めています。
第6項 リスク管理
当社は、当社の行う業務に係るリスク管理の基本方針を定め、適切なリスク管理を行うことを目的として、「リスク管理規程」その他の社内規則を定めています。
当社は、管理すべき主なリスクを、リスクの要因別に次のとおりに分類し、各リスクの特性に応じた管理を行います。
- 運用リスク(信用リスク、市場リスク、流動性リスク、不動産リスク、外部委託リスク)
- オペレーショナルリスク(事務リスク、システムリスク、法務コンプライアンスリスク)
- レピュテーショナルリスク
第7項 情報開示
当社は、金融商品取引法、投資信託及び投資法人に関する法律、東京証券取引所の有価証券上場規程、一般社団法人投資信託協会規則、その他の法令・規則等に則り、本投資法人にかかる情報開示体制および情報開示手続を明確にすることにより、当社の情報開示業務の組織的かつ効率的な運営を図るとともに、当社における情報開示手続の審査および監視体制を確立することを目的として、「情報等開示規程」を定めています。
本規程において適時開示の対象となる情報は、不動産投資信託証券に係る有価証券上場規程の規定に定める情報を含み、投資家の投資判断に影響を及ぼすと思われるすべての情報を意味します。
情報開示は、適時開示情報伝達システム(TDnet)への登録及び掲載、開示用電子情報処理組織(EDINET)への登録及び掲載、兜倶楽部、国土交通記者会、国土交通省建設専門紙記者会への書面配布並びに本投資法人のホームページへの開示等の適切な方法(あるいはこれらの組み合わせ)によって行います。
第8項 情報管理
当社は、情報漏洩の発生や情報資産の不正使用等、法令違反が生じた場合、当社の社会的信用は大きく失墜し、ステークホルダーに多大なご迷惑をおかけするばかりでなく、イオングループの経営や業務運営にも重大な影響を与えることを十分に認識し、厳格な情報管理態勢の構築に努めます。
保有する情報資産を適切に管理・保護することは、当社の社会的責任であり、厳格な情報管理が必要である一方、情報資産を適切に利用することは、当社の競争力の向上に資するものと考えます。
当社は、当社が取り扱うすべての情報資産を適正に保護し、情報の組織的管理と情報セキュリティのレベルの維持・向上を図ることを目的として、「情報セキュリティ管理規程」その他の社内規則を定めています。
当社は、当社の役職員等が、法令等(個人情報の保護に関する法律その他関係法令、金融分野における個人情報保護に関するガイドライン、金融分野における個人情報保護に関するガイドラインの安全管理措置等についての実務指針その他の主務官庁のガイドライン等を含みます。)を遵守し、個人情報の保護とその適切な取り扱いを図ることを目的として、「個人情報保護規程」を定めています。
また、当社は、当社が行う業務に関して、顧客に関する情報の取り扱いを誠実・適正に行う行動基準の確立を図ることを目的として、「顧客情報管理規程」を定めています。
なお、顧客情報とは、当社がその資産の運用を受託する本投資法人及び本投資法人の投資主、本投資法人の資産の顧客(賃借人・転借人を含みます。)、当社及び本投資法人と取引関係にあるすべての関係者に関して当社が保有する情報をいい、本投資法人の資産の運用状況を含みます。
第9項 苦情紛争処理
当社は、当社が行う業務に関して、顧客(本投資法人及び本投資法人の投資主、本投資法人の資産の顧客(賃借人・転借人を含みます。)や当社および本投資法人と取引関係にあるすべての関係者をいいます。)より申し出のあった苦情の処理および紛争の解決にかかわる基本的事項を定め、当該苦情の誠実かつ適正な処理、当該紛争の解決および苦情又は紛争の再発防止を図ることを目的として、「苦情処理規程」を定めています。
当社は、金融商品取引業等に関する内閣府令第115条の2第1項第2号に掲げる措置を特定投資運用業務に関する苦情処理措置として講じるものとし、加入している投信協会が金融商品取引法第78条の6において準用する同法第77条第1項の規定に基づいて行う苦情の解決により金融商品取引業等業務関連苦情の処理を図ります。
当社は、苦情の処理にあたっては、投信協会の規則を遵守し、投信協会が行う苦情処理の手続に従って、苦情の解決に努めます。
当社は、金融商品取引業等に関する内閣府令第115条の2第2項第1号に掲げる措置を特定投資運用業務に関する紛争解決措置として講じるものとし、加入している投信協会が金融商品取引法第78条の7において準用する同法第77条の2第1項の規定に基づいて行うあっせんにより紛争の解決を図ります。
当社は、紛争の解決にあたっては、投信協会の規則を遵守し、投信協会が行うあっせんの手続に従って、紛争の解決に努めます。
第10項 利益相反取引の未然防止態勢
当社は、当社が本投資法人のために資産運用会社として業務を行うに当たり、利害関係者との間で取引を行う場合に関する基本的な事項を定め、本投資法人の利益が害されることを防止することを目的として、「利害関係者取引規程」その他の社内規則を定めています。
当社は、利害関係者との取引に際しては、法令等並びに投資法人の規約及び社内規程等に照らした法令等遵守上の問題の有無について審査するとともに、アームスレングス性を確保し、市場価格との比較検証を行うことを原則とします。
第11項 反社会的勢力排除に向けた取り組み
当社は、当社及び本投資法人と反社会的勢力との関係を遮断し、当社の経営の適正性を確保することを目的として、「反社会的勢力対応規程」その他の社内規則を定めています。
当社は、反社会的勢力対応の基本原則を、以下の通り、定めます。
- 当社および当社の役職員は、反社会的勢力との一切の関係を持ちません。
- 取引先等が反社会的勢力であることを知らずに関係を有してしまった場合、取引先等が当社の知らない間に反社会的勢力と化していた場合など、取引先等が反社会的勢力であることが事後的に判明した場合又はその疑いが生じた場合には、役職員は、当該取引先等が反社会的勢力であると判明した時点又はその疑いが生じた時点において、可能な限り速やかに当該反社会的勢力との関係を解消するよう努めます。
当社は、反社会的勢力との取引(当社の顧客のために取引を行う場合を含みます。)を未然に防止するため、各種契約の新規締結に当たっては、適切な事前審査を実施します。
また、当社は、イオングループ、および、警察、暴力追放運動推進センター、弁護士等の外部の専門機関との間で、緊密な連携体制の構築に努めます。
第12項 内部通報制度
当社は、役職員が不利益を被るリスクを懸念することなく、違法又は不適切な行為・情報開示に関する情報や真摯な疑念を伝えることができるよう、また伝えられた情報や疑念が客観的に検証され適切に活用されるよう、内部通報に係る適切な態勢整備を行います。なお、取締役会は、こうした態勢整備を実現する責務を負うとともに、その運用状況を監督します。
第13項 コンピュータ・システム障害発生時の対応
当社は、コンピュータ・システム障害の内容が、本投資法人の投資主に不利益をもたらす蓋然性が高いと判断される場合あるいは個人情報の漏洩・滅失・毀損を伴う場合、金融商品取引法及び金融庁の定める「金融商品取引業者向けの総合的な監督指針」等に基づいて、直ちに監督当局へ報告を行います。
第14項 サイバーセキュリティ管理
当社は、「サイバーセキュリティ基本法」の定める「重要社会基盤事業者」として、同法の基本理念に則り、投資主をはじめとするステークホルダーに対する役務・サービスを安定的かつ適切に提供するため、サイバーセキュリティの重要性に関する関心と理解を深め、自主的かつ積極的にサイバーセキュリティの確保に努めるとともに、国や地方公共団体、監督当局、業界団体が策定・推進するサイバーセキュリティに関する施策に協力します。
当社は、サイバーセキュリティ対策の主たる目的を顧客保護と定め、当社及び本投資法人のウェブサイトの改竄・閲覧の未然不能、投資主情報の漏洩・滅失・改竄等の未然防止、業務継続をその目的の範囲とします。
当社は、サイバーセキュリティ事案の未然防止とサイバーインシデント発生時における迅速な復旧対応を経営上の重大な課題として認識し、必要な態勢整備に努めます。
当社は、サイバー攻撃によるシステム障害や情報漏洩等のサイバーインシデントを認識した場合、もしくは、サイバー攻撃の予告を受けた場合、速やかに、監督当局へ報告を行います。
当社は、必要に応じ、サイバーセキュリティに関する外部機関と緊密に連携・協働し、管理態勢や対策の継続的な見直しを行います。
第15項 文書管理
当社は、文書等(業務上社内外に往復する書類、電報文、諸規程、稟議書、契約書、報告書、図表、伝票、帳簿、その他会社業務に必要な一切の記録をいい、電子データによるもの等を含みます。)の整理・保管・保存及び廃棄の方法を定め、業務の適正な運営に資することを目的として、「文書管理規程」その他の社内規則を定めています。
文書等の廃棄は、当該文書の内容を考慮して、焼却、裁断等の適切な方法により行います。